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草取り物語

今日は、平日だけど、会社は休みです。夜勤明けで帰ってきて、ご飯を食べて寝て、昼過ぎに目が覚めました。

さて、今日は何をしようか。

自分の人生なんだから。何でも好きなことをしていいんだから。


でもやっぱり、特にやりたいことも無いな。何も思いつかない。

とりあえず、朝、ちょっとやりかけた草取りの続きでもやるか。

草取りで終わってしまいそうな、僕の人生、なんて自虐的に思いながら。



寒い時期はほとんど草は伸びないとは言え、何か月もサボっていたのでさすがに随分といろんな草たちが生えまくっていました。

草取りしている間、頭の中は暇なのでいろんなことを考えます。



これまでいろんな仕事を転々としてきたな。

どんな仕事をやりたいか、というよりは、生きていくため、お金を稼ぐためにできる仕事、一生とは言わないが、しばらくの間は続けられそうな仕事、そんな感じで探していた。

できるなら、自分の好きな事、やりたいことを仕事にしたい。やりがいのある、情熱を注ぐことのできる仕事がしたい。そんな風に考えていた時期もあったけど。なかなかそうもいかないもんだ。

考えてみれば、「よし、生まれたらこういう風に生きよう」、「一生をかけてこういうことをやってやろう」、みたいな、目的を持って自分の意思で生まれたわけじゃないから、やりたいことが分からなかったり、見つからなくたって仕方ないんじゃないか。

生きることの意味とか、目的とか、これまで考えて生きてきたけど、結局は生活のためにできる仕事を仕方なくやって、休みの日だって特にやりたいことも無いからこうやって草取りなんかして、そうして僕の人生終わってしまいそうだ。



でも、草取りってそんなに嫌じゃない。

信じてもらえないかもしれないけど、そんなに悪いものでもない。

特に今日は、草取りには絶好のコンディションだ。昨晩は強めの雨が降り、土がいい感じに湿っていて草が抜けやすくなっている。その雨はとっくにあがっていて今は曇り空、風も穏やかだ。もう少し経つと出始めるあのイヤな蚊も、まだいない。こんなチャンスはない。

雑草にはいろんな種類がある。その草によって、生え方が違うから、抜き方のコツもそれぞれ違う。雑草とは言え、生き残るために頑張っているので、雑に抜いてもしっかりと根っこを残されてしまう。そしたらまたすぐに生えてきてしまうのだ。

きれいに根っこまで抜ける時の、この感触はなかなかいい。

ひたすら草を抜き続ける。たまに通りがかる散歩中の、近所の人に挨拶する。子供が、友達を迎えに行く、と言って出かけていく。時折、腰を伸ばすと、目の前には夕暮れ時の静かな町並みがたたずんでいる。

まったく手をつけてないときには気にならないのに、部分的にきれいになってしまうと、そうでない残りの部分が気になってしまい、気が付いたら何時間もやっていた。



日が落ちて薄暗くなりかけた頃、妻が仕事から帰ってきた。草取りしてくれたの、ありがとう。きれいになったね。

改めて眺めてみた。本当に、きれいになった。


そして思った。いいんじゃない、仕方なく何とか続けられるだけの好きでもない仕事をして、休みの日がこんなふうに草取りで終わってしまっても。

そんなに、悪くない。

くさとり.jpeg

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